○白老町自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例
令和5年6月23日
条例第20号
(目的)
第1条 この条例は、白老町の豊かな自然環境、美しい景観及び町民の安全で安心な生活環境(以下「自然環境等」という。)の保全と再生可能エネルギー発電事業との調和を図るために再生可能エネルギー発電設備の適正な設置及び管理に関して必要な事項を定めることにより、自然環境等に配慮した豊かな地域社会の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 再生可能エネルギー発電事業は、町、事業者、町民その他関係者の相互の密接な連携の下に、地域の活力の向上及び持続的な発展を図ることを旨として行わなければならない。
2 再生可能エネルギー発電事業は、自然環境等に配慮し、適正に行わなければならない。
(1) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項に規定する再生可能エネルギー源のうち太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)をいう。
(2) 再生可能エネルギー発電事業 再生可能エネルギー発電設備の設置及び当該設備による発電を行う事業をいう。
(3) 事業区域 再生可能エネルギー発電事業の用に供する土地の区域をいう。
(4) 事業者 再生可能エネルギー発電事業を行う者をいう。
(5) 土地所有者等 事業区域に係る土地の所有者、占有者及び管理者をいう。
(6) 周辺関係者 再生可能エネルギー発電事業に伴って生活環境等に一定の影響を受けると認められる者をいう。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守し、災害の防止及び自然環境等に十分配慮するとともに、周辺関係者と良好な関係を保つよう努めなければならない。
2 事業者は、再生可能エネルギー発電設備を設置するに当たり、当該再生可能エネルギー発電事業が周辺環境に及ぼす影響を考慮し、再生可能エネルギー発電事業と地域との共生を図るために必要な措置を講じなければならない。
3 事業者は、地域との共生に支障を生じさせないよう再生可能エネルギー発電設備の適切な管理に努めなければならない。
(土地所有者等の責務)
第6条 土地所有者等は、再生可能エネルギー発電事業により、自然環境若しくは景観を損ない、又は災害若しくは生活環境への被害等が発生することのないよう、事業区域に係る土地を適正に管理しなければならない。
(禁止区域)
第8条 町長は、災害の防止、自然環境等の保全又は再生可能エネルギー事業の地域との共生のため、特に必要と認められる区域を禁止区域として指定することができる。
2 事業者は、前項の規定により指定した区域を事業区域に含めてはならない。ただし、事業区域及びその周辺区域の状況等により明らかに支障がないと町長が判断した場合は、この限りでない。
(区域の指定)
第9条 前条に規定する禁止区域は、次のとおりとする。
(1) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の地すべり防止区域
(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の急傾斜地崩壊危険区域
(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域及び第9条第1項の土砂災害特別警戒区域
(4) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条の保安林
(5) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の砂防指定地
(6) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第93条第1項の埋蔵文化財の包蔵地域
(7) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第2項の国立公園
(8) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める区域
(適用を受ける事業)
第10条 この条例の規定は、再生可能エネルギー発電設備の出力の合計(以下「発電出力」という。)が10キロワット以上の再生可能エネルギー発電事業に適用する。ただし、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項に規定する建築物の屋根又は屋上に再生可能エネルギー発電設備を設置するものについては、この条例は適用しない。
2 この条例の規定は、既に設置された再生可能エネルギー発電設備を増設することにより、前項に規定する発電出力以上となる事業においても適用する。
(事前協議)
第11条 事業者は、第13条第1項の規定による届出をしようとするときは、あらかじめ規則で定めるところにより、再生可能エネルギー発電事業の実施に関する計画(以下「事業計画」という。)について町長と協議しなければならない。
2 町長は、前項の規定による協議があったときは、事業者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。
2 事業者は、前項の周知を行うに当たっては、事業計画の内容について周辺関係者の理解が得られるよう努めなければならない。
3 事業者は、第1項の措置を行ったときは、規則で定めるところによりその結果を町長に届け出なければならない。
(届出)
第13条 事業者は、再生可能エネルギー発電事業を実施しようとする場合は、当該設置工事に着手する日の60日前までに、周辺関係者への前条の周知状況を記録した書類を添えて、事業計画について、規則で定めるところにより、町長に届け出なければならない。
2 事業計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)
(2) 設置工事の着手予定日及び完了予定日
(3) 事業区域の所在地、面積及び事業完了時における土地の形状
(4) 再生可能エネルギー発電設備の種別、規模及び発電出力
(5) 再生可能エネルギー発電設備の維持管理計画(再生可能エネルギーの廃止後において行う措置を含む。)
(6) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項及び町長が必要と認める事項
3 第1項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事業計画を変更しようとするときは、あらかじめ変更後の事業計画を町長に届け出なければならない。ただし、規則で定める軽微な変更を除く。
4 町長は、届出を受けた事業計画が他の市町村の区域の生活環境等に影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、関係する市町村長及び行政機関の長に対し、その旨を通知し意見を求めることができる。
(協定の締結)
第14条 町長は、前条第1項の規定による届出を受理したときは、事業者に対し、規則で定めるところにより、再生可能エネルギー発電設備の運用並びに災害時及び事業廃止後の措置に関する協定の締結を求めることができる。
2 事業者は、前項の締結を求められたときは、協定の締結に向けた協議に応じるよう努めなければならない。
(工事完了の届出)
第15条 第13条の規定による届出をした事業者は、当該届出に係る再生可能エネルギー発電設備の設置工事が完了したときは、速やかに規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。当該工事を中止したときも、同様とする。
2 町長は、前項の規定による完了の報告があったときは、速やかに、届出の内容に適合しているかどうかについて確認し、規則で定めるところにより、その結果を事業者に通知しなければならない。
(標識の掲示)
第16条 事業者は、再生可能エネルギー発電設備の設置工事が完了した日から撤去するまでの間、事業区域内の公衆の見やすい場所に規則で定める標識を掲示しなければならない。
2 前項で定める標識の内容に変更が生じる場合は、速やかに変更後の標識を掲示しなければならない。
(維持管理に関する報告等)
第17条 事業者は、再生可能エネルギー発電事業を実施する間、災害時又は自然環境等の保全に支障が生じないよう、再生可能エネルギー発電設備及び事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるよう維持管理しなければならない。
2 事業者は、再生可能エネルギー発電設備の稼働状況、保守点検その他維持管理の実施状況について、規則で定めるところにより、町長に報告しなければならない。
(再生可能エネルギー発電事業の承継)
第18条 事業者から相続、売買、合併又は分割によりその地位を承継した者は、承継した日から起算して14日以内に町長にその旨を届け出なければならない。
(廃止の届出)
第19条 事業者は、再生可能エネルギー発電事業を廃止しようとするときは、廃止しようとする日の30日前までに規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。
2 事業者は、前項で届け出た再生可能エネルギー発電設備を廃止するときは、当該設備の解体、撤去、廃棄その他必要な措置を速やかに講じなければならない。
3 事業者は、前項に定める措置が完了したときは、完了した日から起算して30日以内に規則で定めるところにより、町長に届け出なければならない。
(報告の徴収)
第20条 町長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、再生可能エネルギー発電事業に関する報告又は資料の提出を求めることができる。
(立入調査)
第21条 町長は、この条例の施行に関し必要な限度において、町の職員に事業者の事務所、事業所若しくは事業区域に立ち入り、必要な調査をさせ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入調査を行う町の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は、これを犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(指導、助言及び勧告)
第22条 町長は、必要があると認めるときは、事業者に対して、必要な措置を講ずるよう指導又は助言を行うことができる。
2 町長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、事業者に対して、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(3) 事業者が第15条の規定による届出を行わず、又は虚偽の届出等をしたとき。
(4) 事業者が第17条の規定による維持管理を怠り、事業区域外に被害を与えたとき又は被害を与えるおそれがあるとき。
(6) 事業者が第20条の規定による報告又は資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
(7) 事業者が前項の指導又は助言に正当な理由なく従わなかったとき。
(公表)
第23条 町長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、当該事業者の氏名及び住所(法人その他の団体に当たっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 町長は、前項の規定により公表を行う場合は、あらかじめ事業者に対してその理由を通知し意見を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年10月1日から施行する。ただし、附則第5項の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の規定は、この条例の施行の日以後にその設置工事に着手する再生可能エネルギー発電事業について適用する。