○白老町環境基本条例

平成16年9月27日

条例第15号

私たちのまち白老は、緑あふれる山々、清らかな川や湖、紺碧の太平洋、豊富な湯量を誇る温泉など豊かな自然環境に恵まれ、この恵みのもとに特色ある生活を営み、個性ある文化を育んできました。

しかし、私たちの生活に物質的な豊かさと利便性をもたらした社会経済活動は、大量の廃棄物を生むとともに、資源とエネルギーを大量に消費することから環境への負荷を増大させてきました。そして、その影響は単に地域の環境だけではなく、今や人類の存続基盤である地球の環境をも脅かそうとしています。

私たちは、健康で文化的な生活を営むため、良好な環境の恵みを享受する権利を有するとともに、良好な環境を保全、創造し、将来に引き継ぐ責任と義務があります。

このため、私たち自身も生態系の一員であり、享受できる環境には限りがあるとの認識に立ち、自然と共に生きてきたアイヌの人々や先人の知恵と歴史に学びながら、人と自然との共生を基本として、持続的発展が可能な循環型の社会を築いていく必要があります。

このような認識のもと、私たちは、互いに協力し、自ら参加して良好な環境の保全と創造に積極的に取り組むため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全と創造についての基本的な考え方を定め、町、事業者と町民それぞれの責任と義務を明らかにするとともに、環境の保全と創造に関する施策の基本となる事項を定めることによって、施策を総合的かつ計画的に推進し、現在と将来の町民が健康で文化的な生活を営むことができるようにすることを目的とします。

(用語の意味)

第2条 この条例における用語の意味は、次のとおりとします。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいいます。

(2) 地球環境の保全 地球の温暖化やオゾン層の破壊、海洋の汚染、野生生物の種の減少などの地球の環境破壊を防ぐことをいいます。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下や悪臭によって、人の健康や生活環境に関係する被害が生ずることをいいます。

(基本的な考え方)

第3条 環境の保全と創造は、環境の恵みを現在と将来の町民が享受できるとともに、良好な環境が将来にわたって確保されるよう、適切に推進されなければなりません。

2 環境の保全と創造は、人と自然との共生を基本として、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会をつくるために、町、事業者と町民が、それぞれの責任と義務を自覚し、自主的かつ積極的に取り組まなくてはなりません。

3 地球環境の保全は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることから、町、事業者と町民それぞれが自分の問題として考え、日常生活や事業活動において積極的に推進しなければなりません。

(町の責任と義務)

第4条 町は、前条に定める基本的な考え方(以下単に「基本的な考え方」といいます。)に従い、環境の保全と創造に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、実行する責任と義務があります。

(事業者の責任と義務)

第5条 事業者は、基本的な考え方に従い、事業活動を行うときは、公害の防止や自然環境を保全するために、自らの負担で必要な取組みを行う責任と義務があります。

2 事業者は、環境保全上の支障を防止するために、その事業活動に伴う製品その他の物が廃棄物となったときは、適正な処理が図られることとなるよう必要な取組みをする責任と義務があります。

3 事業者は、環境保全上の支障を防止するために、事業活動に伴う環境への負荷の減少に役立つよう製品の開発、廃棄物の減量等に努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の減少に役立つ原材料、役務等を利用するよう努めなければなりません。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全と創造に自ら積極的に努め、情報の自主的な提供に努めるとともに、町が実施する環境の保全と創造に関する施策に積極的に協力する責任と義務があります。

(町民の責任と義務)

第6条 町民は、基本的な考え方に従い、日常生活の中で、生活様式を見直すなど環境への負荷を減少させるよう努めなければなりません。

2 町民は、町が実施する環境の保全と創造に関する施策に、積極的に協力する責任と義務があります。

(施策の基本方針)

第7条 町は、基本的な考え方に従い、次の基本方針に基づき、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。

(1) 町民の健康の保護と生活環境の保全が図られ、健康で安全に生活できる社会を実現するため、大気、水、土壌等を良好な状態に保持します。

(2) 人と自然が共生する豊かな環境を実現するため、野生生物の種の保存、その他の生物の多様性の確保を図るとともに、森林、農地、水辺地等の多様な自然環境を保全します。

(3) 潤い、安らぎ、ゆとり等の心の豊かさが感じられる社会を実現するため、良好な環境の保全を図りつつ、身近な緑や水辺との触れ合いづくり、自然と調和した良好な景観の形成、歴史的文化遺産の保存と活用等を推進します。

(4) 環境への負荷の少ない循環型社会を築き、地球環境の保全に役立つ社会を実現するため、廃棄物の処理の適正化を推進するとともに、廃棄物の減量化、資源の循環的な利用やエネルギーの適切で有効な利用を推進します。

(環境基本計画の策定)

第8条 町長は、環境の保全と創造に関する施策を推進するために、環境基本計画を定めなければなりません。

2 環境基本計画は、次の事項について定めます。

(1) 環境の保全と創造に関する長期的な目標

(2) 環境の保全と創造に関する計画的かつ具体的な取組み

(3) 計画の進行管理に関すること。

3 町長は、環境基本計画を定めようとするときは、町民と事業者の意見を反映させるために必要な取組みをするとともに、白老町環境審議会の意見を聴かなければなりません。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、できる限り速く公表しなければなりません。

5 環境基本計画を変更するときにも、前2項に定められた手続によります。

(環境基本計画の進行管理)

第9条 町長は、環境の現状や環境の保全と創造に関する取組みの実施状況を年に一度とりまとめ、これを公表しなければなりません。

(環境への配慮等)

第10条 町は、環境の保全と創造のため、環境に影響を及ぼすと認められる施策を計画し実施する場合は、基本的な考え方に従い、環境への負荷が減少するよう配慮します。

2 町は、町が行う事業の実施に当たっては、自らが率先して環境に配慮し、将来にわたる環境の保全等に取り組むための計画を定め、実行します。

(規制等の取組み)

第11条 町は、公害の原因となる行為と自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し、その事業者と公害防止協定を結ぶなど必要な取組みを行います。

2 前項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、町民や事業者に指導、助言等を行うことができます。

(環境の保全に関する施設の整備等)

第12条 町は、下水道、合併浄化槽、廃棄物の処理施設など環境の保全上の支障を防止するために役立つ公共的施設の整備を推進します。

2 町は、公園、緑地など公共的施設の整備、自然環境の適正な整備や健全な利用のための事業を推進します。

(廃棄物の減量等の推進)

第13条 町は、環境への負荷を減少させるため、廃棄物処理の適正化を進めるとともに、町民と事業者による廃棄物の減量化、資源の循環的な利用やエネルギーの有効利用の促進に努めます。

2 町は、環境への負荷を減少させるため、町の施設の建設や維持管理その他の事業の実施に当たっては、廃棄物の減量化、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用に努めなければなりません。

(野生生物の保護管理)

第14条 町は、野生生物の多様性を損なうことなく適正に保護管理するため、その生息・生育環境の保全その他の必要な取組みを行います。

(森林と緑地の保全等)

第15条 町は、人と自然とが共生できる基盤としての緑豊かな環境を形成するため、森林と緑地の保全、緑化の推進その他の必要な取組みを行います。

(良好な水環境の保全等)

第16条 町は、河川、湖沼、湿原、海域等の良好な水環境の適正な保全に努めるとともに、健全な水環境と安全な水の確保のために必要な取組みを行います。

(景観の形成)

第17条 町は、白老の美しい景観を守り、うるおいのある豊かな生活環境の創造のために必要な取組みを行います。

(環境学習の推進)

第18条 町は、環境の保全と創造について、町民と事業者の理解を深め、その活動が促進されるよう、環境の保全と創造に関する学習と教育を推進します。

(環境に関する情報の提供)

第19条 町は、町民、事業者、町民や事業者で構成する団体(以下「団体」といいます。)の環境の保全と創造に関する活動が促進されるために必要な情報を適切に提供します。

(町民等の活動への支援)

第20条 町は、町民、事業者、団体が自発的に行う環境の保全や創造に関する事業や活動を支援します。

(環境に関する調査の実施)

第21条 町は、環境の状況の把握に努めるとともに、環境の保全と創造に関する施策に必要な調査を実施します。

(施策の推進体制の整備)

第22条 町は、環境の保全と創造を総合的に推進するため、町の関係部署の連携と調整を図るための体制の整備、職員の研修その他の必要な取組みを行います。

(町民の意見の反映)

第23条 町は、環境の保全と創造に関する施策に町民の意見を反映することができるように必要な取組みを行います。

(国、北海道、他の市町村との協力)

第24条 町は、環境の保全と創造のために必要な広域的取組みについて、国、北海道、他の市町村と協力して推進に努めます。

(経済的負担)

第25条 町は、環境の保全と創造のために必要な施策を行うときは、その経費の一部を受益者の負担とすることができます。

この条例は、公布の日から施行する。

白老町環境基本条例

平成16年9月27日 条例第15号

(平成16年9月27日施行)