○白老町手話言語条例
令和5年6月23日
条例第19号
言語は、意思の伝達や感情の表現、知識の習得などの手段として、人の暮らしに必要不可欠なもので、手話言語は、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語であり、音声言語とは異なる言語です。
聞こえない人は、音声言語による聞こえる人々の「当たり前」の中で暮らし、多くの不便や不安を感じながら生活してきました。
障害者の権利に関する条約や障害者基本法(昭和45年法律第84号。以下「法」という。)において、手話は言語として位置付けられましたが、未だに聞こえない人の生活や実態を多くの人々が理解しているとはいえません。
これらを踏まえ、白老町では、聞こえない人の日常生活や手話言語を深く理解して地域で支え合い、手話を使って安心して暮らすことができる町を目指すため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び普及を図り、地域において手話を使用しやすい環境を構築するため、町及び町民等の責務及び役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、聞こえない人と聞こえる人が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 聞こえない人が、自立した日常生活を営み、地域における社会参加に努め、全ての町民と相互に人格と個性を尊重しあいながら、心豊かに共生することができる地域社会の実現を目指すものとする。
2 聞こえない人は、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。
(町の責務)
第3条 町は、基本理念にのっとり、聞こえない人があらゆる場面で自立した日常生活や地域における社会参加を保障するために必要な施策を講ずるものとする。
2 町は、前項の施策の他、意思疎通困難者に対しても同様に必要な施策を講ずるものとする。
(町民等の役割)
第4条 町民は、地域社会で共に暮らす一員として、聞こえない人と手話でコミュニケーションを図ることにより、暮らしやすい地域社会の実現に寄与するよう努めるものとする。
2 事業者は、聞こえない人が利用しやすいサービスを提供するとともに、聞こえない人が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(施策の策定及び推進)
第5条 町は、法第11条第3項に規定する障害者のための施策に関する基本的な計画において、次の各号に掲げる施策について定め、これを総合的かつ計画的に実施するものとする。
(1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策
(2) 町民が手話による意思疎通や情報を得る機会の拡大をするための施策
(3) 町民が意思疎通の手段として手話を選択することが容易にでき、かつ、手話を使用しやすい環境を構築するための施策
(4) 手話通訳者の確保、養成及び処遇改善その他手話による意思疎通支援の拡充のための施策
(5) 前4号に掲げるもののほか、町長が必要と認める事項
(財政措置)
第6条 町は、手話に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、令和5年7月1日から施行する。