○白老町認知症と共に生きる希望条例
令和7年9月19日
条例第35号
私たちの故郷、白老町は、高齢化率が47%を超え、間もなく2人に1人が高齢者となる時代を迎えようとしています。国では、高齢者の5人に1人が認知症を発症すると推計しており、本町では、75歳以上の後期高齢者の比率が高くなる傾向にあることから、今後更に、加齢に伴う認知症の発症リスクを有する人が増える見通しにあります。
人生の歩みの中で、これからは誰もが認知症となる可能性があり、それは決して特別なことではありません。認知症になっても自己否定せず、心豊かにその人らしい生活を送り、地域社会の一員として共に生きることは、決して諦めてはならない希望です。
白老町は、豊かな自然とアイヌ文化が息づくまちであり、町民一人ひとりが地域社会の一員として尊重される共生社会の実現を目指しています。誰もが安心して年を重ね、住み慣れた地域で尊厳をもって暮らし続けることができる社会の実現は、私たち町民共通の願いです。私たちは、この町において、認知症の人とその家族が抱える不安や困難に寄り添い、地域全体で支え合う温かい社会を築いていかなければなりません。
町と町民、事業者及び関係機関がそれぞれの役割を果たし、連携・協力しながら認知症の理解促進、早期発見・早期支援、医療・介護・生活支援の充実に不断の努力を重ね、認知症と共に生き、希望を持って暮らせるまちを目指して本条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、認知症の人とその家族が安心して暮らせるまちづくりに関する基本理念を定め、町の責務並びに町民、事業者及び関係機関の役割を明確にするとともに、町の施策の基本となる事項を定めることにより、町、町民、事業者及び関係機関が一体となって認知症に関する取組を総合的に推進し、もって認知症の人と家族が安心して暮らせるまちの実現に寄与することを目的とする。
(1) 認知症 介護保険法(平成9年法律第123号)第5条の2第1項に定めるところによる。
(2) 認知症の人等 認知症の人及びその家族をいう。
(3) 町民 町内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
(4) 事業者 町内において事業を行う者又は団体をいう。
(5) 町内会等 町内会、民生委員、近隣住民をいう。
(6) 関係機関 医療又は介護を提供する事業所その他認知症の人等を支援する機関(事業者及び町内会等を除く。)をいう。
(7) 軽度認知障害 健常と認知症の中間の状態をいう。
(基本理念)
第3条 認知症施策は、次に掲げる基本理念に基づき、推進するものとする。
(1) 一人ひとりの意思が尊重され、尊厳及び希望を保持し、自分らしく暮らせるまちを目指すこと。
(2) 認知症に関する正しい知識及び理解に基づき、認知症の人とその家族が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる地域共生社会の実現を目指すこと。
(3) 認知症の人が自らの意思により、その能力を活かし、社会参加をすることができる環境をつくること。
(町の責務)
第4条 町は、前条の基本理念にのっとり、この条例の目的を実現するため、認知症に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
2 町は、認知症に関する施策の推進にあたっては、認知症の人等の視点及び意思を尊重するとともに、町民、事業者、町内会等及び関係機関と連携して取り組むものとする。
(認知症の人等の役割)
第5条 認知症の人等は、安心して暮らし続けることができるまちづくりのため、自らの希望、思い及び気づいたこと等を町又は関係機関等に発信するものとする。
2 認知症の人等は、社会の一員として、自らの意思に基づき社会参加を行うものとする。
(町民の役割)
第6条 町民は、認知症に関する正しい知識を習得し、理解を深めるとともに、日常生活において認知症への備えに努めるものとする。
2 町民は、認知症の人等の悩みや不安等に気付いた時は、認知症の人等の状況に応じた適切な支援を行うよう努めるものとする。
3 町民は、町、事業者、町内会等及び関係機関が実施する認知症に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、従業員等が認知症に関する正しい知識を習得し、理解を深めるために必要な教育を実施するよう努めるとともに、認知症の人に配慮したサービスの提供に努めるものとする。
2 事業者は、町、町内会等及び関係機関が実施する認知症に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(町内会等の役割)
第8条 町内会等は、認知症に関する理解を深め、認知症の人等の見守りその他の支援を行うとともに、認知症への備えに関する活動、認知症の人等及び地域住民が交流を図ることができる居場所づくりに取り組むよう努めるものとする。
2 町内会等は、町、事業者及び関係機関が実施する認知症施策及び取組に協力するよう努めるものとする。
(関係機関の役割)
第9条 関係機関は、相互に連携し、認知症の人に対し、その人の状態に応じた適時かつ適切な医療及び介護サービスが提供されるよう努めるものとする。
2 関係機関は、認知症に関する調査や研究等に係る成果の情報共有に努めるものとする。
3 関係機関は、町と連携し、認知症に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(施策の策定及び推進)
第10条 町は、共生社会の実現を推進するための認知症基本法(令和5年法律第65号。以下「法」という。)の規定に基づき、本条例の目的を達成するため、次の各号に掲げる施策について定め、これを総合的かつ計画的に実施するものとする。
(1) 認知症の人に関する町民の理解の増進等
(2) 認知症の人の生活におけるバリアフリー化の推進
(3) 認知症の人の社会参加の機会の確保等
(4) 認知症の人の意思決定の支援及び権利利益の確保
(5) 保健医療サービス及び福祉サービスの提供体制の整備等
(6) 相談体制の整備等
(7) 認知症(軽度認知障害を含む。)への備え等
(8) 認知症施策に必要な調査の実施
(9) 多様な主体との連携
(10) 前9号に掲げるもののほか、町長が必要と認める事項
(財政措置)
第11条 町は、認知症に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、令和7年10月1日から施行する。